ゆうなんとかさんの雑記帳的な。

Twitterで踊ったり音ゲーしたりしてるあの名前がよくわからない人が書いてるらしいよ。

精神疾患は社会の病なんじゃないかなって仮説を立ててお話をしてみる

僕たちの文明では、感情という現象は、極めて稀な精神疾患でしかなかった。だから君たち人類を発見した時は驚いたよ。全ての個体が、別個に感情を持ちながら共存している世界なんて、想像だにしなかったからね。

by キュウべえ

引用したのは「魔法少女まどか☆マギカ」の一節です。私たちの間では普通にある「感情」も、キュウべえからすれば「精神病」なんですね。本編でもキュウべえの「異質さ」を端的に示す台詞であったと思います。私たちにしてみれば考えもしないような発言だったと思いますし、それゆえに結構考えさせられる言葉でもあります。これを引っ張ってきて何が言いたいのかというと、タイトルの通り「精神疾患は社会が変われば病気ではなくなる可能性がある」ということです。
現実の世界についても好例があるのでご紹介します。精神疾患なのか否か、こういうときによく引き合いに出されるもののひとつが同性愛です。これ、大昔は制度化された向きもあったのですが、世界的に見れば一昔前は犯罪でした。信じられないかもしれませんが、発覚したら問答無用で死刑になるくらいの重罪だったのです。なお現在でも犯罪として扱われている国が、イスラム圏やアフリカを中心に残っています。最悪極刑を言い渡される国もありますので、該当される方は渡航の際気を付けましょう。
人外な扱いを受けていた同性愛ですが、だいたい19世紀くらいになると、今度は治療されるべき「精神疾患」として扱われるようになってきたそうです。実際、ほんの数十年前まで、精神医学界における診断のものさしともいえる「DSM」というものにリストアップされていました*1
事情が変わってきたのが世界大戦前後くらいです。このころから、同性愛者のコミュニティの活躍や、考え方の変化により、「治す」のではなく「個性として認める」「社会で受け入れる」という方向に変わってきたようです。

もちろん、社会の受け入れ方に温度差があるのは従前のとおりですが…

「社会の受け入れ方に温度差があるのは従前のとおり」、これ結構重要です。冒頭で示した感情も、先ほど長々と話した同性愛も、コミュニティが違うだけで受け取られ方に雲泥の差があります。

ところで、最近なんか新しい精神疾患が増えてきてるな…って思ったことありませんか?
これは今までは単なる怠けで片付けられていたものが、研究などによって疾病と定義されたり、病の床に伏していた人をフォローしていた(あるいは幽閉するなどして社会的に、ひょっとしたら比喩ではなく実際に抹殺していた)コミュニティが、社会の変化によって崩壊したということも考えられます。私はそれよりも、ひょっとしたら、社会がどんどんストイックになってきてしまい、いわゆる「普通」から逸脱したら即「病気」扱い、といった感じになってるんじゃないかな、って思っています。特に日本は「右向け右」になりやすい気質の人が多いので、「普通」がどんどんとストイックになってしまい、振り落される人が多くなってきた。そうした「ドロップアウトした」人を、「何者でもないお前たち」で済ませておくのは据わりが悪いので「病気」というラベリングをしたという風に感じます。もちろん全員が全員というわけではありません。ただ、少しでもレールを外れたというジャッジが下るともれなく犯罪者、病人、落伍者扱いされて再起不能に…みたいな極端な事態になりつつあるんじゃないかと、少し怖くもあります。
こういうことを書いていると気が沈んできたので、今日はここまでにしましょう。結構前々から思っていたのですが、今はあんまりこういうことを深々と考えないほうがいいかなとちょっと後悔です。

*1:「いました」なので、現在は当然疾患であるという記載はされていません。