ゆうなんとかさんの雑記帳的な。

Twitterで踊ったり音ゲーしたりしてるあの名前がよくわからない人が書いてるらしいよ。

あの大地震の4年前に書かれていた本

福井晴敏といえば「終戦のローレライ」や「亡国のイージス」といった長編の軍事詳説が有名ですが、今作は地震シミュレーションの短編小説です。


この物語は2008年10月の夕暮れ時、マグニチュード7.3の大地震が東京を襲うところから始まります。運悪く東京都庁のエレベーターの中で地震に見舞われるは主人公の西谷久太郎(にしたに ひさたろう)*1。彼はたまたま居合わせたいまいちいけ好かない青年、甲斐節男(かい せつお)とともに、「大地がちょっと身震いした」結果日常が崩れ去った東京を歩き通し、家族の待つ墨田区の京島にたどり着くことはできるのでしょうか…
まるで預言者が書き記したかのように、一昨年の関東東北大震災を彷彿とさせる内容です。文庫本は2010年の発刊ですが、元の本は2007年の8月下旬発刊。折しも7月に起きた新潟県中越沖地震の直後です。
数字で訴えてくるよりもだいぶ実感のわくお話だったと思います。しかもただの小説に終わることなく、地震が起きたとき何が起きるのか、何をするべきなのか、どう備えておくのかといった解説が各章ごとになされていて、地震対策本としても心構えを知ることができる1冊です。ページ数も文庫版ですらリーダブルコードより少なく、ものの2時間ほどでさくっと読めてしまいます。本屋さんで見かけたら手にとってみてはいかがでしょうか。

*1:さいやく たろう ではない