ゆうなんとかさんの雑記帳的な。

Twitterで踊ったり音ゲーしたりしてるあの名前がよくわからない人が書いてるらしいよ。

宇宙船地球号の未来はどうなるか

未来は明るいのか、それとも…

NHK スペースシップアースの未来

NHK スペースシップアースの未来

今回は予告通りスペースシップアースの未来を読み終えたので感想をば。今日は一日携帯を家において出かけていたので読書がはかどりました。

この本は去年の末から今年の頭にかけて放送された同じタイトルのドキュメンタリーを書籍化したものです。
地球を孤高の宇宙船にたとえ、地球が人の住める星であり続けるにはどうすればいいのかを、4部構成でまとめたものです。
持続可能な社会を目指せ!というのはまあそうなんですが、今まで見聞きしてきたそういう未来の青写真と違うところは、「化石燃料をの消費を0にするのはまあ無理だろうね」という前提があるということです。むしろ、これから先も新たな化石燃料が発掘されるであろうという見地に立っていて、将来は化石燃料を(それでも使う量はぐぐっとへらすべきだけど)完全な悪だと言い切って拒絶しないところが、さすが地に脚立ってるなという感じでした。
企画が動く契機となったのがかの東日本大震災だそうで、そのせいか原子力はその功績を認めつつも、その力に夢を見る時代ではなくなったとかなりばっさりこき下ろしています。ただ、ここでも言えることですが、大事なのは「1か0か」におちいるのではなくて、「ゆっくりと、しかし確実に、少しずつ変えていこう」という精神だと説いているようにも見えました。急進的に原子力をなくせ!という論調ではないのは確かです。夢を見ていないけれど、その分「私たちならできるよ」という提案をしてくれている感じがします。
私は今回、資源を中心に描いていますが、この本では地球という宇宙船を「客室」「燃料」「環境維持装置」の3つの視点からとらえて話を進めています。それぞれ増えすぎた乗客、底がつきる可能性、持続可能性の破綻の危機と、何の手も施さなければ近い将来破滅が見えそうなトピックがあります。しかし、希望が全くないわけでもないとも言っています。どれもかなり具体的な解決策を提示してくれていて、「あとは私たちの決断次第」、ようは心がけひとつで、地球はまだまだ、これからも住める星であり続けることもできるし、あらゆる生き物が死に絶えた星にもなりうるというのです。本の中ではこの状態を「希望の馬と破滅の馬が競走している」と例えています。手綱を握っているのは私たちで、いかにして希望の馬が頭ひとつ抜きん出るかは私たちの心がけなのですよと。
この本の中では、欧米諸国の先進的な取り組みもさることながら、日本の「もったいない」精神は、地球を永らえるための重要な鍵としてよく引き合いに出されています。日本からも世界を永らえるための技術が出てくるのでしょうか。はたまた、アイデアが生まれてくるのでしょうか。希望の持てる1冊です。