ゆうなんとかさんの雑記帳的な。

Twitterで踊ったり音ゲーしたりしてるあの名前がよくわからない人が書いてるらしいよ。

まったくわからない→なんとなくわかる→よくわからない

さて、3回目となる本の紹介です。ミステリーばっかりというのもなんですし、今回は異世界に主人公が飛ばされる系のファンタジーを読んでみました。

紫苑の書

紫苑の書

  • 作者: seren arbazard
  • 出版社/メーカー: ブイツーソリューション
  • 発売日: 2011/10/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この「紫苑の書」、読むのがかなり大変でした。なぜなら、「書いてある文字が読めないから」。どういうことなのかというと、「異世界に飛ばされるのになぜか言葉が容易く通じる」というご都合主義を廃したらどうなるのかを見事に書ききった意欲作なのです。
まず手にとってぱっと読んでみると、地の文は日本語なのですが、登場人物の会話はほとんどが見たことも無いような文字で書かれています。主人公の紫苑のせりふや地の文で多少解説はしてくれるものの、訳文が添えられることはありませんし、読みだした頃は私もちんぷんかんぷんです。その見たことも聞いたこともない言葉を、紫苑がすこしずつ覚えていくという過程もまた、この小説の面白いところでもあります。同じように、読み進めていくに連れて少しずつこの謎の言葉がわかってくるんです。不思議ですね。でも、後半になってくると固有名詞がものすごく増えるので、一気に読みにくくなってしまいます。紫苑も同じくそのことに頭を悩ませており、この小説は語らせずして主人公に感情移入させるという凄技をやってのけているのです。
まだもう一度読み返すという事はしていないのですが、この言葉を覚えた状態でもう一度読み返してみるとどうなのか、少し楽しみです。
この小説に出てくる謎の言葉は、人工言語「アルカ」というものです。単語の文字を規則に沿って入れ替えると意味が逆になるとか素敵じゃないですか?アルカではこれができます。素晴らしいですね!
なおネット上にはアルカを研究しているコミュニティがあり、そこで勉強したり、単語を検索したりすることができます。「紫苑の書」のPDF版もここにあります。辞典を片手に読み進めていくと、いつの間にかアルカを覚えることができる、かもしれませんね。
今回は本を買ったわけではないので、8月中にもう1冊軽くレビューできればと思います。